大分大学理工学部・大学院工学研究科

理工学部長・工学研究科長 小林 祐司

科学技術の力でより良い未来を創造する。

理工学部長・工学研究科長
小林 祐司

 大分大学理工学部は,1972年に設置された工学部をその前身として,急速に進展をみせている科学技術に対応し,同時にグローバルに大きく変容を遂げようとしている社会の諸課題に科学技術の側面から果敢に挑戦する人材の育成を目指して,従来の5学科8コースを改組再編し,2017年4月に2学科(創生工学科,共創理工学科)8コースの新しい学部として発足,その後,2023年4月に理工学科1学科9プログラムに改組・再編を行い,多様化・複雑化する社会的ニーズに対応すべく改革を進めてきています。

 この理工学科は,数理科学,知能情報システム,物理学連携,電気エネルギー・電子工学,機械工学,知能機械システム,生命・物質化学,地域環境科学,建築学の9プログラムから構成されています。多くの問題が輻輳して現れてくる諸課題に向きあうため,また, AIや情報関連技術の急速な進展により,将来的な展望が困難なほどの変貌が予想されている未来の課題に対応するには,その時々の変化を適切にとらえて柔軟な思考のもとに,学際的かつ俯瞰的な観点からそれぞれの課題解決にあたる「総合力」を発揮することがより一層求められています。このため,各分野の専門性とともに理学的素養と工学的素養を併せ持つ人材を養成する教育体系を実現しています。

 大学院工学研究科では,理工学部への改組に先行して2016年度から分野横断的な教育体系としています。また,今日求められている数理・データサイエンスなどの情報分野,脱炭素社会の実現,安全・安心かつ持続可能な社会の形成に向けた人材育成なども急がれます。

 私たちが暮らす日本,そして世界の環境はその様相を大きく変えようとしています。とりわけ2019年に発生したCOVID-19よるパンデミックは,我々の生活や働き方,学び方をも一変させました。これまでの日常が一変し,大学においては人材育成や研究のあり方に課題が突きつけられました。大学,とりわけ本理工学部は最先端の科学技術を学ぶ場であり,その場こそ社会の変化や動きに敏感である必要があります。組織としてもその時々の課題に対応するだけでなく,長期的な視点かつ想像力を働かせながら,新たな教育や研究,コミュニティのあり方をも模索し提案する必要が出てきているのです。これまでも,人口減社会,気候変動に伴う災害の多発化への対応など,安全・安心で持続的な社会をどのように構築し,継承してくのかが問われてきていましたが,その課題は多様化・複雑化し,また深刻化していると言えるでしょう。このような悲観的な視点だけではなく,縮小しながらも充足された社会を構築していくためにも,「知」を再結集し,新たな社会の有り様を示すことこそ,現代に生きる我々に課された使命であると言えます。我々がそれぞれの専門分野の垣根を越え,新たな提案や変革を実現し,今後も変化するであろう社会構造・産業構造に対応し続けなければなりません。前例踏襲主義では,変化のスピードが速いこの社会において,社会が求める人材,社会を牽引する人材,社会を変える人材を育成し続けることは困難でしょう。そして,天然資源に乏しい日本が今後もこれまでに築き上げてきた豊かさを堅持してゆくためには,グローバルな視点を持ちながら,科学技術によって新たな付加価値を創造し続けなければならないことに変わりはありません。

 大分大学理工学部・大学院工学研究科では,「質の高い特色ある研究を通じて,世界に通用する科学技術を創造し,もって地域に貢献すると共に,豊かな創造性,社会性及び人間性を備えた人材を養成する」ことをその教育・研究の理念とし,理工学部では「自ら課題を探求する高い学習意欲と柔軟な思考力,国際基準を満たす専門知識を備え,総合的な視点から分野を超えて連携して科学技術の発展に貢献でき,豊かな人間性と高い倫理観を併せ持つ人材を養成する」ことを教育の目標として,専門性を究めつつ理学と工学の素養を併せ持つ持つ人材」の育成に努めて参ります。工学研究科では,理工学部での教育を基礎として,「より高い専門性と分野横断的視点を備えた技術者や研究者を養成」するとともに,社会的ニーズに対応すべく今後も改革を進めて参ります。

 これからも挑戦し続ける大分大学理工学部・工学研究科で学び,情熱をもって集まってきた仲間達そして教職員と共に切磋琢磨し,科学技術の力でより良い未来を切り拓いていきましょう!